消えた11月…ブラームスとヴィオラと渾沌と

いつのまにか12月。この週末はあちこちで第九の本番の記事が流れてきて、もう年末だなぁと思いつつ。
まず、兵庫の平家物語が終わり一息ついたら、11/19は白寿ホールでの「ヴィオラ・コレクションvol.2」に出演いたしました。

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昨年の1回目はヴィオラのみで、ヴィオラの魅力をたっぷりお伝えという企画だったそうなのですが、今年はヴィオラと色々な楽器との組み合わせということで、私はブラームスの作品91「2つの歌曲」を歌わせていただきました。

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オペラは雑…とは言いませんが、大きな場所で動きつつ、オーケストラの頭上を超えて歌っていくものなので、ある程度の音楽的なバランスどりなどは指揮者を信じて、気合いで?いくようなことも多いのですが、室内楽のリハーサルは繊細な感じ!とはいえ、重箱の隅を突き合うような、決め事ばかり追う感じでは決してなく、その時のお互いの音楽にセンサーを働かせながら調整していく感じ。

ヴィオラの村上淳一郎さんの美しくクリアな音、ピアノの津田裕也さんの自然な流れにのせていただき、初対面で大緊張だった初日リハーサルから、とても楽しい時間を過ごすことができました。

また、ナビゲーターとしてYouTubeで【クラシック音楽奇譚】というチャンネルをお持ちのHanaさんが、それぞれの曲の生まれた背景などをわかりやすくご案内くださり、それぞれの曲の世界へと誘ってくださるようなコンサートとなりました。ホールの美しい響きとともに、雰囲気がとても盛り上がったのではないでしょうか。
他の曲はお客様と共に客席で拝聴したかったです…。

そんな「音楽する楽しみの原点」みたいな時間を味あわせていただいた少し後には、夫の主催する演奏会がありました。

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小学生のマーチングバンドと習い事のピアノから始まり、ビリージョエルなどの弾き語り、バンドでドラムを叩いてみたり、ブラスバンドでトロンボーンを吹き、大学ではオーケストラ活動を開始。初めてやった曲はプーランクの“牝鹿”やオネゲルの“パシフィック231”という、なかなか面白い音楽生活を経て、イタリアのプログレッシブロックなども好んで聴いていた夫(本業は会社員エンジニア)が、15年近くかけて書いた交響曲のお披露目でした。
金管楽器をやっていると、仲間でアンサンブルをするには曲が足りず、編曲をするのは割とよくあることです。そして、ご縁が広がり、編成の大きなものも編曲依頼いただくようになり…と少しずつこのような曲を書くための修練を積ませていただけたのかな。私の門下生のためにも、無伴奏三重唱や合唱曲なども書いてくれました。

……
【交響曲「渾沌」のはじまり(その3)】
〜 渾沌 Seven Holes in the Face について 〜
チラシにも書いたのだが、「渾沌」は出身大学(九州芸術工科大学)のシンボルマークだった(「だった」というのは、今は九州大学に吸収合併したので)。よく皆さん間違えがちだが、決して「混沌」ではなく、「渾沌」なのである。

『南海と北海の神々は、自分達を常日頃もてなしてくれる自然の神「渾沌」に報いようとして、目・耳・鼻・口といった七つの穴を一日に一つずつ渾沌に開けていった。ところが七日目に渾沌は死んでしまった』

という「荘子」の寓話がある。物事に無理に道理をつけてはいけない、という戒めの言葉と受け取っている。作曲においても、新しい技巧に挑戦するのは良いことだが、これをやり過ぎると音楽そのものの美しさや豊かさが失われてしまっては本末転倒、この精神を失わないよう「渾沌」と命名することにした。
では、「Seven Holes in the Face」 って何? もちろん、目・耳・鼻・口の七つの穴のことではあるが、これは、イタリアのプログレッシブロックの曲「For Holes in the Ground」の完全なるオマージュである(僕がプログレ好きであることは前回の投稿を見てね!)。斬新なのに美しい旋律、まさに「渾沌」の目指すところと思い、副題に採用した。

……
これは彼がFacebookに掲載した曲についてのエッセイの一部なのですが、自分のやりたいことの他に、演者の心地よさ、演奏のしやすさを常に念頭において書くことを心がけているなぁと側からみて思っていましたが、そのような心が生きた渾沌が出来上がったなぁと。

変拍子も多く、演奏するのに決して気持ち良いだけの曲ではないのですが、演奏会が終わった後に奏者のみなさんからポジティブなメッセージがいくつもいただけたようで、嬉しそうでした。

そのような心で曲を書き、パート譜を書き、練習をオーガナイズし…ということが、演奏会の雰囲気をしっかりと盛り上げて、良い演奏につながったのだと思います。お力添えくださった方々、応援くださった皆様に感謝です。

そして、普段とは逆に舞台の中央で拍手をいただく相方を客席から眺める気持ちとはこのようなものなのですねぇ。

演奏家であることが決して当たり前ではなく、それぞれの温かい拍手をいただく時間の裏にある長い長い時間と想いについて改めて考えた11月でした。







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